事例で学ぶマーケティング 他社はどんなマーケティングをやっているのか
マーケティングは、何をするとうまく行くのでしょうか?
最新のマーケティング理論を学ぶことでしょうか?
マーケティングセミナーに参加して勉強することでしょうか?
最も簡単で、効果的なのは、他社が行っているマーケティングを参考にすることでしょう。
とはいっても、なかなか他社事例を外部から探るのは難しいことです。
このコラムでは、外部からはなかなか知ることのできない他社のマーケティング事例を、実際にマーケティングを行った担当者が講師となり、実践的なケーススタディとしてご紹介します。
第2回:女性とキュレーションメディア
「顔の見えない“キュレーター”の記事でオンナゴコロが動くワケ」
今やキュレーションメディアは、女性マーケティングを語る上で欠かせない「ハブ」としての重要な役割を担っています。今回のコラムでは、キュレーションメディアの人気の理由とそこに渦巻く女性たちのインサイトに迫ります。
■噂好きミーハー女子を取り巻く“クラスの輪”
人気モデルのローラさんが出演するTVCMが話題の「MERY」。この「MERY」をはじめ、「4meee!」「Locari」などの“キュレーションメディア”と呼ばれるメディアはここ数年で急激にユーザーを増やし、いまや10代~20代の女性を中心に絶大な人気を誇っています。キュレーションメディアとは、その名の通り、1つのテーマに対する複数の情報を収集・整理(=キュレーション)して記事が構成されているメディアです。ではなぜ、キュレーションメディアはここまで女性たちの支持を集めるようになったのでしょうか。その理由は情報を収集・整理して記事を作成する“キュレーター”と呼ばれる人たちの存在にあります。
人気のキュレーターに共通する特徴としては、良い意味でミーハーで“流行りはじめ”の情報に敏感なこと。そして自分が主張するよりは、みんなの意見を集めてまとめて代弁する方が得意なこと。そして「自分のため」に情報を収集するというよりは、「みんながまだ知らないことを、教えてあげたい」という親切心が強いこと。そう、学生の頃にクラスに1人はいた、世話好きで噂好き、口癖は「隣のクラスの●●ちゃんが言っていたんだけどね・・・」というような女の子のイメージです。彼女といると情報に乗り遅れないし、話題も豊富で楽しいから、いつもクラスでは輪の中心にいたはず。そしてその噂好きなミーハー女子を取り巻く“クラスの輪”的な情報構造こそが今のキュレーションメディアなのです。
■「すぐに試せる」「すぐに買える」、検索魔女子たちの自己実現ツール
スマートフォンの普及により、気になったことはすぐにスマホで“検索”できる今の時代。TVを見ながら、買い物をしながら、友達とご飯を食べながら・・・、とにかくいつでもどこでも、気になったことや知りたいことはすぐに検索。そしてキュレーションメディアは、その豊富な情報量から検索で上位にあがってくることが多いことも特徴です。検索した側としては、知りたいテーマに対する情報が程良く集まってまとまっているので、複数のサイトや記事を見に行く必要がなく便利。特に女性最大の関心事である美容やファッションといったジャンルは、常にトレンドが移り変わり、膨大な情報量の中から解決策を見つけなくてはなりません。が、そんな時にも解決策を端的に提示してくれるキュレーションメディアは、まさに検索魔女子たちの心強い相棒なのです。
ポイントとなるのは“ライトな欲求”に対する“ライトな解決策”が提示されているということ。同じ目線を持つキュレーターが情報提供しているからこそ、背伸びしなくても「すぐに試せる」「すぐに買える」など、解決のためのアクションが手軽で明確。この点こそ、キュレーションメディアが人気の理由です。キュレーションメディアは情報収集ツールである一方で、ライトな欲求を手軽に満たすことができる自己実現ツールでもあるのです。
■企業のマーケティング活用には“ヨコからの目線”が必須
このようなキュレーションメディアの特性や人気の理由を踏まえると、企業がマーケティング活用する際に必要とされるのは“ヨコからの目線”であることがわかります。企業視点が強すぎると“ソトからの目線”、試すにはハードルが高い情報だと“ウエからの目線”になってしまいます。キュレーションメディアユーザーのオンナゴコロを動かすには、徹底的にユーザー目線に立ち、まるで同じクラスの女子から聞いているような身近な感覚とお得感・手軽感を大切にしなくてはなりません。
また、SNSの普及により、「SNSで生まれたトレンドをマスメディアが取り上げる」というようにトレンドの起点が変化しつつあることは言わずと知れた実態ですが、
【SNSで話題になる】→【キュレーターがSNSの情報をまとめて記事化する】→【SNSでさらに情報が拡散する】→【マスメディアが取り上げる】
というように、キュレーションメディアがSNSとマスメディアの間の架け橋となることで、起点の変化はさらに加速しています。トレンドを創出するという観点からも、キュレーションメディアは重要な役割を担うようになってきているのです。
次回のコラムでは、今最も注目を集めるSNSである「インスタグラム」をテーマに、インスタグラムに女性たちが熱狂する理由と新たなハブメディアとしての動向、インスタグラマー達の実態などを探ります。